インカレを終えた4年生シリーズ、引き続き選手からコメントをもらいました。
シリーズ9回目は橘田和樹選手(立教大学)
橘田和樹選手(立教大学)メッセージ
■インカレ振り返り
今年は上手くいかなかったな…というのが正直な感想です。昨年の入賞以上の結果を出せると信じて臨んだオムニアムは14位、この一年でシフトしたロードは完走すら出来ずと、思うような結果を残すことが出来ませんでした。
ただ、ここまで積んできた練習や経験は納得が出来るものだったと思います。インカレが始まる前には既に4年間への後悔は無かったです。
学生最後の夏に残してしまったのは最高の舞台で周囲の期待に応えられなかったことへの申し訳なさと悔しさですね。
良い思い出として残っているのは、オムニアムの最終種目であるポイントレース中盤の単独での逃げのことです。間違いなく人生で1番の声援を貰いました。
前3種目の結果で既に入賞争いからも脱落していた私でしたが、こんな状況になっても自分の名前を叫んで応援してくれる人が大勢いるんだなと。結果は実らずとも、こうして多くの人に覚えて貰えたということが、この声援が、自分がここまでやってきたことの答えなのかなと感じています。苦しい一方で幸せな時間でした。
■学連レースや4年間の思い出
転機となるイベントはいくつもありましたが、1番大きな思い出は大学3年時のインカレオムニアムです。
高校時代からずっと全国での入賞まであと一歩の位置で足踏みをし続けていた私にとって、全国での初めての入賞は格別でした。
精神的な部分で変化があったのか、その後の4年次までの躍進(当社比)のキッカケにもなりました。
一緒に逃げて逆転を演出してくれた渡邉選手(明治大)、植益選手(大阪産業大)の2名は間違いなく私の人生を変えてくれた人です。
特に慶太は中学生の頃から9年も一緒に走っているので、学連を越えて色々な思い出が蘇ってきます。まあ大体私が負けているんですけど笑。
■学連を目指す選手たちへ
大学生になると、殆どの選手は違う環境に身を投じることになります。高校時代に全国のトップにいた選手がいれば、燻る思いがあって続けることを選んだ選手もいます。もっと言えば学連登記や競技班の立ち上げといった環境作りから始まる人も、大学で初めて自転車競技と出会う人もいると思います。
バックグラウンドの異なる人々の熱が一箇所に集まり大きなエネルギーとなっているのが学連です。
走る理由も様々ならば、降りる理由もまた人それぞれ。自転車を介して交わっていた熱は、いずれ別の場所へと向かっていきます。
私は運良く10年もの間この競技の世界に身を置かせて頂いておりますが、その間にも周りの環境は常に変化していました。新たに走り出す者がいれば、納得して去っていく者や情熱を失ってしまう者まで。走り出した皆が美しく散れるわけではありません。
そして多くの人々は全国での栄冠を勝ち取ることなく競技を去ります。私もそのうちの一人です。私は”本物”にはなれませんでした。でも、この4年間に満足している自分がいます。
ここまで急に長々とどうしたって感じですが、私が伝えたいのは「自分がやってきたことの価値は自分自身が決めなくてはならない」ということです。
このことを教えてくれたのは学連で競技を続ける中で出会った人々です。
リザルトの上の方には名前が載っていない。でも確かに輝いて見える人達。歴史に名前が残るような結果ではなくても、人の心を動かす何かがそこには沢山ありました。
本気でその世界にいた者だけが、名もなき価値の存在と強者の本当の凄さを知っています。自分で決めたゴールまで全力で走り続けた人は皆、輝いて見えました。
いつしか自分もそんな輝きを放ってみたいと、自分で自分に納得できるまで走らなければならないと強く思うようになりました。これが私の原動力です。
自転車競技に限ったことではありませんが、好きなことは大切に真摯に向き合って欲しいと思います。本気になれるくらい好きなものと本気で対峙出来る時間はそう多くありません。是非、納得のいく学生生活にして欲しいです。
中堅校代表(?)としてリクエストを頂いたみたいなので、こんな話をさせて頂きました。
最後にはなりますが、学連の皆さん4年間お世話になりました。貴重な経験をさせて頂きありがとうございました。
学生自転車競技の益々の発展を願っています。
立教大学体育会自転車競技部
元主将 橘田和樹
インカレを終えた4年生シリーズ2019 バックナンバー
・武山 晃輔選手(男子ロード優勝)
・古山稀絵選手(女子総合優勝 日本体育大学キャプテン)
・福田咲絵選手(女子ロード優勝)
・小嶋健太選手(男子ロード総合優勝 日本大学主将)
・山根将太選手(男子総合優勝 中央大学主将)
・五味田奈穂選手(順天堂大学)
・上野恭哉選手(法政大学)
・橋本優弥選手(鹿屋体育大学)
photo&編集 深井文浩