インカレを終えた4年生:草場啓吾選手(総合優勝:日本大学)編

ロード優勝4年生 野本選手よりリレー形式でお伝えしてきた本企画、3回目は草場啓吾選手です。
去年に続きインカレ総合優勝2連覇を決めた日本大学。草場選手が入学したのは総合優勝が途絶えている時期でした。4年生の草場選手はどのような気持ちでインカレを迎えたのか、その思いを聞きました。


■インカレを終えて
Q:インカレ総合優勝おめでとうございます。日本大学の総合優勝が昨年から復活しました。4年生としてこれまでの思いを教えてください。

草場さん:
我々日本大学は毎年インカレ総合優勝の為に日々努力して参りました。
私が入学する前は当時インカレ総合30連覇という偉業をなし得ていた大学でしたが、私の入学が決まったのはその連覇が途切れた時でした。
そして、なんとしてでも優勝旗を取り戻す一心で練習を積み重ね、去年ついに5年ぶりに2位とダブルスコア以上での総合優勝奪還を果たしました!
そして、去年の総合優勝を果たした次の日から我々はこの伝統を引き継ぐべく、再び走り始めました。

ですが、近年どこの大学もレベルが上がり、総合優勝は簡単ではありません。
特に京都産業大学は中長距離のメンバーが厚く、今年からルールが変わりマディソンとオムニアムが追加されたことによって風向きが変わったと感じています。
また、去年総合2位の中央大学も、卒業した先輩方の穴をちゃんと埋められているように見えるので要注意だと思っていました。

4年生としては最後のインカレ。去年先輩達が作って下さったこの良い流れを途切れさせるわけにはいきません。
その為にナショナル活動等で個々の力を強化し、大学に持ち帰り後輩を育成しチーム全体でレベルアップを図ってきました。
ですのでこのインカレにかける思いはどこの大学よりも強いと感じています。
各メンバーもそれを自覚してそれぞれ得意な力を発揮したことにより、今年も総合優勝を獲得することができました。

インカレトラック終了時の日本大学自転車部

■草場選手の活躍
Q:草場さんご自身もトラック、ロードとも活躍していました。個々のレースの様子はいかがでしたか?

草場さん:
自分自身のレースとしては
・4kmチームパーシュート 優勝
・オムニアム       4位
・ロードレース      18位
という結果でインカレを終えました。

まず、4kmチームパーシュート優勝は予想もしていませんでした。これは、優勝者インタービューでも書きましたので詳しくはそちらを見て頂きたいのですが、応援の力は凄いんだなって感じるレースになりました!

我々日本大学は部員数50名を超える組織で、普段はまとめるのがとても大変なチームです。
しかし、メンバーに選ばれなかったチームメイトが全力で声を張って応援してくれるのは他のチームには無い良さだと思います!
その声援が会場をホームにし、有利な状況になったのも勝因だと思います!
サッカーでも、ホームグランドの方が有利と言われるのはここにあると思います!

団抜きで優勝を決めた直後、観客席から祝福される草場選手。後方に写るチームメイトを含め、たくさんの声援が大きな励みとなった。

Q:オムニアムはたくさんの競技を勝ち抜いていく必要がありますね。各レースごとに感じたことなどはあったでしょうか。

草場さん:
オムニアムは今年のインカレから正式に採用された種目で、これはオリンピックを視野に入れた試みだそうです。
オムニアムとは、スクラッチ、テンポレース、エリミネーション、ポイントレースのトータルのポイントの順位が1番高い選手が優勝となる競技です。
陸上で例えるならば十種競技のような感じです。
初めのスクラッチで順位を落としすぎてしまうと後半に響いてしまうので、この種目はかなり気合を入れて望みました!
集団を冷静に見極め、2着でゴール。まずまずのスタートをきれてホッとしながら次のテンポレースに望んだ結果、スクラッチでミスをした選手達が必死になって来ていて油断して7位で終えてしまった。その時点でトータルで4位。
このまま悪い流れにハマってはいけない。けど自分はエリミネーションで最後まで生き残った事なくて、不安と緊張でいっぱいでした。
監督にも足を使ってでも前で走れと言われてたので、足を貯めることなく常に前を心がけレースを進めて行き、初めて最後の2人まで生き残る事が出来ました!
そこからはスプリント勝負やと思っていましたけど相手が諦め残り1周は流してゴール!

不安だったエリミネイションは1位通過。ここでも部員たちの応援に力づけられた。

初めてエリミネーションで勝てたのでかなり嬉しかったですが、喜ぶ時間の間もなく最後のポイントレース。
エリミネーションの結果でトータル1位と2点差の2位に付けていたので余裕を持ってスタート。これが結果良くなかったのですが、入賞圏外の選手の逃げに(順位の)上位陣は反応せず、牽制ばかり入ってしまい、最終的にトータル4位まで順位を落としてしまった。
守りに入ってしまったのが敗因です。
悔しい気持ちで終わってしまったのは残念ですが、この悔いを次のステップで必ず生かして行きたいと思いました!


Q:インカレロードはチーム含めどのような感じでしたか?

草場さん:
ロードレースは僕と武山がエースで後半集団の人数が減ってから有利な展開に進めて行き、どちらかが優勝すればいいなというつもりでレースに望みました。
武山は足がすごい回っていて今日こいつ勝つんちゃうかなと思いながら、自分は全くと言っていいほど体が動きませんでした。
インカレという舞台に調子悪いという言い訳は通用しないのは分かっていながらもこのコンディションは最悪でした。
ですが、武山以外の後輩達も今までにない成長を見せてくれて嬉しかったです。
最後第1集団に自分がいたら、調子が良かったらって何度も思い返し、悔し涙を流しました。
悔しくて泣いたのは初めてかもしれません。それぐらいこのインカレにかけてきたので残念です。

「最後のゴールは全ての人への感謝とごめんなさいです。でも、みんなで掴んだ総合優勝!!  最高です!4年間ありがとう」草場選手twitterより。

しかし、後輩の頑張りのおかげで、ロード総合は逃したものの総合優勝2連覇を達成する事が出来ました!

インカレロード出場の部員たちと。後輩の頑張りで総合優勝2連覇を達成できた。

■学連生活について

Q:学連で過ごした時期を振り返っての感想はいかがですか?

草場さん:
この3年半を振り返るとあっという間に時間は過ぎ、たくさんの人と出会い、成長出来たなと思いました!
特に監督さんには感謝してもしきれないくらいお世話になりました。
この恩はいずれ結果として恩返ししたいと思います!

そして新シーズンは小嶋健太主将の下、日本大学自転車部は動き出しています。
後の事はもう後輩に託しました。僕たちの背中を見て来て、それを引き継ぐと共に超えていって欲しいなと思います!

今後のことはインカレトラック3連覇を果たした貝原涼太選手(写真左)をはじめ、確実に育ってきている後輩たちに託していく。

■学連をめざす選手たちへ
Q:最後に、学連での活躍を目指す選手たちにアドバイスがあったらお願いします。

草場さん:
皆さんは大体自転車をする為に大学に入ってくると思います。 しかし大学に入る以上は部活動も大切ですが、学業もおろそかに出来ません。 部活のルールがあって大変やと思いますがまずはちゃんと学校に行って単位を取りましょう!
1、2年の間は履修数も多くて大変やとは思いますが、それを乗り切れば安心して部活動メインにシフトチェンジ出来、より強くなれると思います!
余裕ができてくれば視野も広がると思いますので、皆さん頑張って下さい!


<編集後記 学連ウォッチャー:深井>
女子含め4回にわたりお伝えした「インカレを終えた4年生」シリーズ、どの選手からも実経験に基づく造詣深いコメントが寄せられ、以前の写真を探しながら感慨深く編集をさせていただきました。
4年生の多くがあと半年ほどで社会に羽ばたいていきます。全ての4年生選手のますますの活躍を心からお祈りしています。

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