furuta のすべての投稿

セーフティ・ライドのために-脳震盪-

脳震盪を知っていますか?

日常生活でもよく聞く脳震盪。サッカーやアメフトなどのコンタクトスポーツでは近年とても問題となりルールが改正されるなど対応がなされています。

皆さんがチームスタッフ、審判員などとして競技会に参加する際、落車した選手を直ちに競技復帰させていませんか?

脳震盪を繰り返すと、簡単な算数ができなくなったり、物を覚える能力が低下したりと日常生活に支障が出てくるだけでなく、場合によっては10-15年後に死に至ることもあるとても危険な病気です。

UCIも問題視しており、その特設サイトがあります。
(画像をクリックすると当該ページにジャンプします)

このサイトの中で脳震盪の疑いがある場合の対応手順が示されています。今回その日本語訳を作成しました。

それぞれの詳細な方法・手順はここでは省略しますが、上記の手順を踏まない限り選手を競技に復帰させるべきではないと提言がなされています。

自転車競技はフィールドが広く、直ちに医療スタッフが現場に駆け付けられないこともあります

そんなとき現場の審判・チームスタッフの判断に迫られる場面があります。

もちろん、上記の手順をすべて覚えておくのは難しいです。

しかしながら昨今のスポーツシーンにおいて脳震盪は重要視されています。

実際、リスクのある選手をとにかくニュートラルで集団に戻したという経験があると思います。

少しでもおかしいなと思ったらその選手は競技に戻さないということが大切です。

文書:古田雅拓(広報委員会/理学療法士)

レースレポート:第1回 富士クリテリウムチャンピオンシップ

3月19・20日の二日間、静岡県富士市で第1回富士クリテリウムチャンピオンシップが開催された。

本大会は、全日本実業団自転車競技連盟(以下、JBCF)、ジャパンサイクルリーグ(以下、JCL)、日本学生自転車競技連盟(以下、JICF)の3団体の交流として学連からも多くの選手・競技役員が参加し開催された。

初日は、各団体の予選が行われ、二日目に富士クリテリウムチャンピオンシップとして、それぞれの予選を勝ち上がった選手による決勝レースと、予選で26位から45位に入った選手たちによる交流戦が行われた。二日目の午前中には女子のレースも行われ、明治神宮外苑クリテリウムでも勝利した日本体育大学の川口が勝利した。

注目の決勝は、学連現役選手が集団を牽引するなどレースを盛り上げ、最後は日本大学OBである全日本チャンピオンの牽引から発射した同じく日本大学OBの愛三工業レーシングチームのエーススプリンター・岡本 隼が勝利した。

各団体予選上位3名がスタートライン前方に並ぶ

初日に行われた各団体の予選を勝ち上がった、計75名の選手たちが、各レースの上位3名を先頭に整列。

決勝は、14時10分にスタートが切られ、その頃には気温も上がり、過ごしやすい春の陽気の中レースが開始した。

スタート直後から多くの選手が、アタックを試みるも単調なコースということもあってかなかなか逃げが決まらず、集団が縦に伸びては横に広がるような状態が何度も繰り返される。

レース中盤には、入部正太朗(早稲田大学OB/弱虫ペダルサイクリングチーム)のアタックをきっかけに、橋本英也(鹿屋体育大学OB/チームブリヂストンサイクリング)と中野楚樂(日本大学)の3名が抜け出す。

その後、先頭集団に中井唯晶(京都産業大学OB/シマノレーシング)や佐藤 健(日本大学)、岡本勝哉(日本大学)らが加わり11名となる。この集団は一時集団に20秒程度の差をつけた。

メイン集団は終盤、今村駿介(中央大学OB/チームブリヂストンサイクリング)や窪木一茂(日本大学OB/チームブリヂストンサイクリング)が先頭を固めてペースを上げ始めると、孫崎大樹(早稲田大学OB/Sparkle Oita Racing Team)も牽引に加わり、2周回ほどで逃げを吸収し、レースを振り出しに戻す。

集団が一つになってすぐ、橋本英也(鹿屋体育大学OB/チームブリヂストンサイクリング)が再び集団から抜け出す。

この先行は、10秒ほどの差をつけてるも、吸収された。

すると再びチームブリヂストンサイクリングから、U23全日本チャンピオンの兒島直樹(日本大学)がアタック。

全日本チャンピオンのリードアウトから発射した
岡本 隼が初代クリテリウム日本一に

兒島が逃げる中、全日本チャンピオンの草場啓吾(日本大学OB/愛三工業レーシングチーム)を先頭に愛三工業レーシングチームの3名がメイン集団戦闘でトレインを組んで兒島を追う。

ゴール直前で草場が兒島を捕まえると、その勢いのまま岡本 隼(日本大学OB/愛三工業レーシングチーム)がスプリントを開始。
岡本の後ろには窪木一茂(日本大学OB/チームブリヂストンサイクリング)も差を詰めるも、伸びず、岡本がガッツポーズを上げた。

決勝 結果(30周/54km)
1位 岡本 隼(日本大学OB/愛三工業レーシングチーム) 1時間16分35秒
2位 窪木一茂(日本大学OB/チームブリヂストンサイクリング) +1秒
3位 中川 拳(早稲田大学OB/愛三工業レーシングチーム)
4位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
5位 今村駿介(中央大学OB/チームブリヂストンサイクリング)
6位 レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガ(マトリックスパワータグ)
3団体対抗 表彰 結果
1 JBCF 12 岡本 隼 日本大学OB 1 1:16:35 17
7 窪木 一茂 日本大学OB 2 1:16:36
14 中川 拳 早稲田大学OB 3 1:16:36
6 今村 駿介 中央大学OB 5 1:16:36
4 レオネル キンテロ マトリックスパワータグ 6 1:16:36
1.5 JICF OB 12 岡本 隼 日本大学OB 1 1:16:35 18
7 窪木 一茂 日本大学OB 2 1:16:36
14 中川 拳 早稲田大学OB 3 1:16:36
6 今村 駿介 中央大学OB 5 1:16:36
129 沢田 桂太郎 日本大学OB 7 1:16:36
2 JCL 110 小野寺 玲 宇都宮ブリッツェン 4 1:16:36 42
129 沢田 桂太郎 日本大学OB 7 1:16:36
136 渡邊 諒馬 VC福岡 8 1:16:36
113 中島 康晴 鹿屋体育大学OB 11 1:16:36
104 本多 晴飛 チーム右京 相模原 12 1:16:36
3 JICF 215 佐藤 健 日本大学 10 1:16:36 75
231 宇佐美 颯基 明治大学 13 1:16:37
242 北村 翔太 日本体育大学 16 1:16:38
203 渡邉 和貴 順天堂大学 17 1:16:38
207 西村 行生 慶應義塾大学 19 1:16:38

 

交流戦や女子カテゴリーも開催

富士クリテリウムチャンピオンシップ決勝レースの前には、前日の予選で26位から45位までに入った60名の選手による交流戦や、午前中には女子などのレースが開催。

女子のレースは、2月に開催した第16回 明治神宮外苑大学クリテリウムでも勝利した川口うらら(日本体育大学)が、岩元杏奈(日本体育大学)や太郎田 水桜(法政大学)との先行から抜け出し、勝利した。

女子 結果(15周/18km)
1位 川口うらら(日本体育大学) 28分41秒
2位 岩元杏奈(日本体育大学) +12秒
3位 太郎田水桜(法政大学) +13秒
4位 阿部花梨(順天堂大学) +2分27秒
5位 牧田咲子(順天堂大学) +2分48秒
6位 野寺 梓(法政大学) +1LAP

マスターズではこちらも第16回 明治神宮外苑大学クリテリウムのマスターズで優勝した森榮晃彦(パラティアムTOKYO Fusion Systems)が、勝利した。

全日本自転車競技選手権大会-パラサイクリング・トラック

令和元年9月22日(日)、静岡県・伊豆市の日本競輪選手養成所の中にできたJKA250バンクで全日本自転車競技選手権大会-パラサイクリング・トラック/オムニアムが開催された。

この大会は、パラサイクリングのカテゴリー毎のタイムトライアルとパーシュートの選手権大会である。

会場となるJKA250は日本競輪選手養成所内に新設された国内2番目の板張り250mバンク。先週開催された全日本選手権トラックに続いて3回目の公式戦開催となった。施設の都合上、今回も無観客試合だったがMoreCadenceによってユーチューブでライブ配信されていた。
(アーカイブ:
https://www.youtube.com/watch?v=e-tZhDGDmMY )

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

パラサイクリング

パラサイクリングはUCIのルールに基づいて行われる障害者の自転車競技で、選手は障害の種類と使用する自転車で4つのクラスに分かれ、障害の程度によっても分類されます。

今回の参加選手のカテゴリーはCクラスとBクラス。
Cクラスは四肢の障害があるものの、通常の二輪自転車を使用するクラス。
Bクラスは視覚障害を持つものがタンデム自転車を使用するクラス。

Cクラスは障害の程度により、5段階に分類されます。C5~C1と分かれ数字が大きいほど、障害が軽いことを表します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
タイムトライアル

WC2-3(女子の二輪自転車の障害の少し重いクラス)は学連OBの息子をもつ杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)(C3) 選手が制した。


500mタイムトライアル(WC2-3) 結果
1位 杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)(C3) 41秒650(日本新)
2位 藤井美穂(楽天ソシオビジネス)(C2) 47秒936

毎年、学連のタイムトライアル選手権にオープン参加してくださっている、藤田征樹(藤建設)(C3) 選手は惜しくも優勝を逃した。


1kmタイムトライアル(MC2-3) 結果
1位 川本翔大(大和産業)(C2) 1分17秒490
2位 藤田征樹(藤建設)(C3) 1分15秒302
3位 相園健太郎(全日本空輸)(C2) 1分20秒197
※障害別に係数がかかる為、順位が前後している。

 

日本体育大学とともに練習する小池岳太(JTBコミュニケーションズ)(C5)選手も惜しくも優勝できなかった。


1kmタイムトライアル(MC4-5) 結果
1位 石井雅史(イナーメ信濃山形)(C4) 1分11秒170
2位 小池岳太(JTBコミュニケーションズ)(C5) 1分12秒196(日本新)
3位 沼野康仁(usp lab. VC SPLEMDOR)(C5) 1分25秒485

 

パイロットを学連関係者が務めるタンデムクラスは男女合同で行われる。


1kmタイムトライアル(B) 結果
1位 木村和平,倉林巧和(楽天ソシオビジネス)(M) 1分05秒104
(大会新)
2位 大城竜之,中川誠一郎(チームチェブロ,競輪選手会熊本支部)(M) 1分07秒159
3位 山口乃愛,山本さくら(北海道札幌視覚支援学校,CielBleu鹿屋)(W) 1分14秒618
※後者がP

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
パーシュート


3km個人パーシュート(WC2-3) 結果
1位 杉浦佳子(楽天ソシオビジネス)(C3) 4分08秒696(日本新)
2位 藤井美穂(楽天ソシオビジネス)(C2) 4分44秒639


3km個人パーシュート(MC2-3) 結果
1位 川本翔大(大和産業)(C2) 3分55秒503
2位 藤田征樹(藤建設)(C3) 3分47秒659
3位 相園健太郎(全日本空輸)(C2) 4分28秒740
※障害別に係数がかかる為、順位が前後している。


3km個人パーシュート(WB) 結果
1位 山口乃愛,山本さくら(北海道札幌視覚支援学校,CielBleu鹿屋)(W) 3分56秒912


4km個人パーシュート(MC4-5) 結果
1位 石井雅史(イナーメ信濃山形)(C4) 5分08秒664
2位 小池岳太(JTBコミュニケーションズ)(C5) 5分35秒507
3位 沼野康仁(usp lab. VC SPLEMDOR)(C5) 6分10秒277


4km個人パーシュート(MB) 結果
1位 木村和平,倉林巧和(楽天ソシオビジネス)(M) 4分28秒408
※後者がP

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
使用機材

使用機材は基本的に市販のものと同様のものを使用していたが、一部改造が加えられていた。タンデム自転車はカーボン成型されたものであった。


↑MC2-3で二冠の川本翔大(大和産業)の使用するバイク。片脚で漕ぐため左のクランクがなくサドルの横に断端を収納するパーツが取り付けられている。


↑MC4-5で2位に入った、小池岳太(JTBコミュニケーションズ)のバイク。DHバーを片側のみ取り付けている。最近鎖骨を折ったためで、普段は二本で使用しているとのこと。左の上肢に麻痺があるためBOAダイヤルのついた装具を装着していた。


↑毎年、学連の個人TTのOPに参加してくださる藤田さんは両脚義足で自転車に乗る。普段用と競技用で使い分け、競技用は改良に改良が重ねられている。

 


↑Bクラスを制した、木村和平,倉林巧和(楽天ソシオビジネス)のバイク。インカレなどのタンデムで使用しているバイクと違い、カーボンのフレームであった。

編集後記
今回、装具を使用している選手に話を伺った。選手の使用する装具はUCIの認可が必要な上にそれ自体に何百万とお金がかかり、大変なスポーツのようだった。競技人口に関しても、今回の大会の参加者を見てもわかるように、決して多いとは言えない。選手たちは、お金のかかるスポーツだけど少しでもこのスポーツを知ってもらうためにも講演会などを通してこんな世界があるということを伝えて行きたいと話していた。私も少しでもその活動の助けができたら良いなと感じた。

文章&写真:古田雅拓

 

全日本自転車競技選手権大会-オムニアム

令和元年9月22日(日)、静岡県・伊豆市の日本競輪選手養成所の中にできたJKA250バンクで全日本自転車競技選手権大会-パラサイクリング・トラック/オムニアムが開催された。学連登記選手・OB・関係者の活躍を取材した。

この大会は、エリートの男女オムニアム選手権とパラサイクリングのカテゴリー毎のタイムトライアルとパーシュートの選手権大会である。オムニアム選手権には男子14名、女子5名の学連登記選手が出走した。他の選手も学連関係者、OBがほとんどであった。

会場となるJKA250は日本競輪選手養成所内に新設された国内2番目の板張り250mバンク。先週開催された全日本選手権トラックに続いて3回目の公式戦開催となった。施設の都合上、今回も無観客試合だったがMoreCadenceによってユーチューブでライブ配信されていた。
(アーカイブ:
https://www.youtube.com/watch?v=e-tZhDGDmMY )

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

男子オムニアム

スクラッチでは、關根論容(日本体育大学)が先着

↑テンポ・レースで先頭スタートの關根論容(日本体育大学)

テンポ・レースはブリジストン勢がポイントを独占する中、最終着順で2位に入った曽我部厚誠(京都産業大学)が5位に入った。

↑ブリジストン勢が集団をコントロールする。

エリミネイションで最後に残ったのはブリジストン勢、愛三工業勢の六名だった。

↑一団となって進む集団

最終ポイントレースでは、優勝した岡本隼(愛三工業レーシングチーム,日本大学OB)とともに、關根論容(日本体育大学)、曽我部厚誠(京都産業大学)、谷内健太(京都産業大学)、橘田和樹(立教大学)が一周追い抜きに成功した。

 

優勝した岡本選手と、現役学連選手の上位2名にインタビューができたので、紹介する。

―現役の学連選手へメッセージ
大学生がこういう舞台で戦っているのは良いことだと思いますし、ロードもトラックもどちらもやることは大学生のうちは大事なことだと思います。また、ロードもトラックもどっちもできなきゃいけないと思います。それで、こういう日本一を決める大会にどんどん出てもらいたいと思います。最後のポイントレースで大学生たちとともにラップをともにしたのは嬉しかったです。

 

↑学連最上位でフィニッシュした、關根論容(日本体育大学)
―本日の感想
プロ選手や学生でもトップクラスの選手たちの中で、学連最上位で終われたことは嬉しいが僅差でプロに負けているということは今後の課題としてオフシーズン練習頑張っていきたいと思います。
―今後の目標
今シーズンはこれでオフなので、来年の個人戦・インカレに向けて頑張っていきます。

 

↑現役学連選手の中で2番目の順位となった曽我部厚誠(京都産業大学)
―今日の感想
4回生であり、京都産業大学として出場する最後のレースで、正直プロと戦えるとは思っていなかったので、その下を狙っていた。競技はスクラッチ・テンポでは順位を落とさずに走れたと思います。最後のポイントレースではプロにマークしていたが、その裏をかいた關根君が強くて負けてしまいました。
―今後の自転車生活について
競技で乗る予定はないですが、趣味として乗ってたまに大学にも顔を出せたらいいなと思います。

 

最終結果
1位 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)(日本大学OB) 130pt
2位 窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)(日本大学OB) 126pt
3位 近谷涼(TEAM BRIDGESTONE Cycling) (日本大学OB) 119pt
7位 關根論容(日本体育大学) 110pt
8位 曽我部厚誠(京都産業大学) 98pt

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

女子オムニアム

一昨年のインカレロードチャンピオンであり、今年度学連登記はしていないものの筑波大学として走った梶原悠未(筑波大学)が全種目制覇し優勝した。ポイントレースでは二周追い抜きをして見せ、世界の力を見せつけた。

↑逃げる梶原悠未(筑波大学)

 

学連登記選手の最上位は古山稀絵(日本体育大学)だった。

↑集団の先頭を走る古山

 

最終結果
1位 梶原悠未(筑波大学) 187pt
2位 中村妃智(日本写真判定)(日本体育大学OG) 131pt
3位 鈴木奈央(JPCA) 128pt
4位古山稀絵(日本体育大学)109pt

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

編集後記

結果的に、現役の学連選手は上位に入ることはできなかったが、男子を優勝した岡本選手は日本大学OBである。また、女子優勝の梶原選手も学連関係者である。現役の学連選手も二人のように全日本のタイトルを獲れる選手に成長していってほしい。

 

 

文章&写真:古田雅拓