学生委員ブログをご覧の皆様、こんにちは。
東京大学自転車部競技班でチームマネージャーを務めております、4年の植田瑞貴と申します。
私が普段書いている東大自転車部の練習日記 http://d.hatena.ne.jp/ut-br/ を読んだ前学生委員長・方山さんからご指名をいただいて、昨年度から始まったこの企画。
これまでの連載はこちらから! 【雨垂れ石を穿つ①順天堂大・原裕紀選手】-前編- 【雨垂れ石を穿つ②順天堂大・原裕紀選手】-後編-
私の所属する東大が初心者集団であることから、テーマは「大学から自転車競技を始めることについて」。高校以前に競技に触れたことがなかった選手たちは、何を感じ、どうやって上を目指しているのか。いろいろな大学の選手と私との対談形式でお届けしています!
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今回インタビューに応じてくれたのは、慶應義塾大学の3年生で、昨年度インカレ女子ロードレース優勝の戦績を持つ福田 咲絵(ふくだ さえ)選手!
福田 咲絵(ふくだ さえ):慶應義塾大学 競技開始:大学1年2月 大学以前の運動歴:水泳、陸上 得意種目:ロードレース 主な戦績:2016インカレ女子ロードレース優勝
前編はこちらから! 【雨垂れ石を穿つ②慶應義塾大・福田咲絵選手】-前編- 【雨垂れ石を穿つ②慶應義塾大・福田咲絵選手】-中編-
今回は、福田選手インタビュー完結の後編。今までの大会についての思い、今後の目標と後輩たちへのアドバイスを聞きました。それでは、ぜひご覧ください!
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―インカレに出たくて学連に来たわけだけど、もうインカレタイトルは取っちゃったじゃん(笑)。これからの目標は…?
福田●去年の最初に立てた目標はインカレ完走で、4年の最後のインカレで優勝するっていう計画でした。けど、(インカレタイトルは)取っちゃった(笑)。
もちろんインカレは大学生選手としては重視して、勝たなきゃいけないっていうのはあるんですけど、今の目標は長期的にはオリンピックです。そのために、今年は全日本選手権で表彰台に上りたいので、それに向かって今は練習してます。
―この選手とはライバル、みたいなのってあるの?
福田●みんな脚質が違うので、一概にこの人、みたいなのはいないですかね。自分がまだまだ伸び続けていると思っているので、いまのところ壁は作りたくないな、って。どこまで成長できるか、楽しみです。
―最初から強くなりたい、っていう気持ちがあって、それはずっと変わってないんだね。
福田●どうせ同じ時間をかけるんだったら、妥協したくなくて。せっかくやるんだったら、中途半端では終わりたくない。負けず嫌いで、男子と一緒に練習したときに男子に負けるのすら悔しいんです(笑)。
もちろん最初はまったくついていけなかったんですけど、だんだんつける距離を伸ばしていって、地道にやっていけば、女子でも強くなれる。さすがにバンクとかだと勝てない部分も多いですけど(笑)。でもやっぱり長い距離とか上りとかだったら勝てるようになるので。
―トラック種目だと単純なパワー勝負になっちゃうところも多いから、さすがにしょうがないのでは(笑)。ハロン(200mFTT)とかはね…
福田●うーん、でもやっぱり全部負けたくないです(笑)。
―あはは(笑)。慶應の選手に話聞いたら、「登りは普通に福田に負ける」って言ってたよ(笑)。
福田●みんなに「ヒルクライム好きでしょ」って言われるんですけど、実はそういうわけじゃないんですよ。登りはきついですし、ヒルクライムだと永遠にきついのが続くので(笑)。ロードレースはきつくないときがありますけど。
―咲絵ちゃんくらい考えられる人だったら、ロードレースには考えるってところの面白さもありそうだね。
福田●いやー、海外レースを走らせてもらって、まだまだ考えられてないなーって思いました。難しくてまだまだ勉強中ですが、考えるレースは好きです。
自分より(脚としては)強い人にでも、考えれば勝てるというか。もっともっと考えて走れるような選手になりたいですね。
―どこまでいっても男子の方が単純な力としては前にいるから、目標は作りやすいかな。
福田●そこは恵まれてますね。常に自分よりちょっと強い人、1.1倍くらいの人が練習相手だといいじゃないですか。
男子だと、チームで一番強くなっちゃうと練習相手に困ったりしますけど、女子だと必ず男子選手が上にいるので。そこで頑張ってついていけば必ず強くなる、っていうのは樫木さん(樫木祥子選手。駒澤大学OG、AVENTURA AIKO VICTORIA RACING所属)も言ってましたし。(女子選手は)結構みんな実践してます。
―樫木さん…私、2014年のジャパンカップで初めて樫木さんのレースを見て。そのとき樫木さんは機材故障かなにかで結果が出なくて、フィニッシュ後泣いてたんだよね。
それを見て、ああこの人はこんなに競技に懸けてるんだ、って思って、そこからひそかにファン(笑)。やっぱり咲絵ちゃんもそうだけど、一生懸命なにかを懸けてやってる人は応援されるよね。
福田●負けて悔しくないってことは、そこまで頑張ってないってことかなと思います。スポーツも勉強も全部そうかな。私も去年とか、悔しい思いを何度もしました。
―今までで一番悔しかったレースは?
福田●全日本と、実業団の宇都宮クリテ…完走すらできなかったんです。
宇都宮クリテは初めての実業団レースだったんですけど、もう号泣で…走りながら泣いて、走り終わってから泣いて。その一週間前に、ホビーレースの大磯クリテビギナーで優勝して、調子に乗ってたんですよね(笑)。こんなもんか、って(笑)。
全日本は、レース前の調整もうまくできなくて。なので、今年懸ける思いは強いです。
やりきった負けとそうじゃない負けがあるじゃないですか。順位よりも、内容が悪い方が悔しいですね。例えば…個人ロード(2016)は残りちょっとのところでパンクしちゃって。悔しいんですけど、でもちゃんと最後まで出し切れたので、後悔はしてないというか。
―個人ロードは…そうだね。(試合前から、咲絵ちゃんが強いっていう)噂は聞いてたんだけど、パンクなければ優勝してたかもしれないくらいの結果だったし、「福田さん思ってたよりずっと速いぞ」って話題になった(笑)。初めて私と咲絵ちゃんが話したのもたぶんその時で、「これからの学連を背負う選手なので」っていって慶應の誰かに紹介された(笑)。
福田●えっそんな(笑)。いやいやいや(笑)。
―応援してくれる人も増えたでしょ。
福田●そうですね。チームメイトだったり、友達だったり、監督だったり。特に親には感謝してもしきれません。
平日は大学行って、バイトしてってなると、どうしても練習時間は早朝と深夜にしかとれないことも多くって。夏は3時半起きで練習に行ったりもします。
そんなめちゃくちゃな生活時間を許してもらえるのは、本当に感謝しています。たくさん迷惑をかけているので、もっともっと結果で恩返しがしたいですね。
―大学、経済学部だっけ。両立が大変だよね。
福田●そこはうまくやるしかないですね。レポート書くときは、タイマー置いて(笑)。「2000字だから、2時間」とかって決めて終わらせて、別のことしたりしてます。
あんまりだらだらしたくなくて、勉強するときは勉強、テレビ見るときはテレビ、寝るときは寝るみたいな感じです。私、ローラーしながら音楽聞くとかできなくて…不器用なんです、たぶん(笑)。
今年からキャンパスが変わって通学時間が伸びて、ゼミも始まって忙しくはなると思うんですけど…時間がないって言われた方が、練習できるっていうのはあります。その時間しかないから、そこでやるしかないかなって。
―大学生ライダーの鑑だ(笑)。そういえば私、この間高校生の女の子と知り合う機会があったんだけど、その子が「大学に入ったら自転車競技を始めて強くなりたいんです、慶應の福田さんみたいに」って言ってたよ。
福田●えっすごいですね!ええ~!(笑)嬉しい…。
知ってもらってる、ってことがまず嬉しいですし、もっと目指してもらえるような強い選手になりたいですね。
―これから自転車競技始めます、っていう人に言いたいことってありますか?
福田●自転車競技は大学から始めても遅くないって思うんです。だから、恐れないで始めて欲しい。
最初はとにかく実走で乗り込むことが大切だと思います。あとはレース出て経験して、反省して上手くいかなかった部分を練習に落とし込んでいくことを繰り返せば必ず強くなれると思います。
―そうやって新しい舞台に行けば、考えられることは増えるよね。
福田●海外レースを走ったことで、考え方が大きく変わったところも多いです。新しい課題が見つかって、それを克服することが続いていくからこそ、楽しいっていうのはあって。
それがなくなったら、楽しくないんだろうなって思います。なんでしょうね…楽しんでます。楽しむことが大事なのかなって、思います。
ただただ練習するんじゃなくて、何を目的として練習しているか、っていうのは常に考えてます。考えてるのと考えてないのだと、同じ練習をするにしてもぜんぜん違うんじゃないかなって思ってるんです。私も考えきれてるわけじゃないので、常に考えなきゃな、って思ってます。
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私もスタッフとして4年間いろんな選手を見てきて、考えて走ること、練習することの大事さはとても感じています。しかし一方で、それを意識することが難しいのも事実です。これから強くなろうとする人にとって、とてもいいアドバイスだと思います。
今後のより一層の活躍に期待して、応援しています。
(「雨垂れ石を穿つ②慶應義塾大・福田咲絵選手 連載おしまい)